万葉の花 flower story
2019 / 04 / 04 15:21
「梅」(新元号「令和」について)
梅 (バラ科サクラ属の落葉高木)
中国中央アジア原産。日本には奈良時代に遣唐使によって持ち帰られた。
「万葉集」では、「うめ」(宇米、有米、鳥米、宇梅、于梅)と表記されるが、
平安時代には「むめ」の形が多い。「梅」という外来語の中国語音meiを
「うめ」「むめ」と日本語音の体系に取り入れて表記したことに基づくため。
中国では、高い香りを発しつつ、操をかえないことから「君子の象徴」とされ、
一重白梅、香気の高いものが第一とされた。
日本にあっても舶来の植物として大陸の雰囲気を漂わせた梅は、食用薬用の実用木と同時に、
鑑賞木として貴族階級や文化人に珍花としてもてはやされた。
梅の寓意は、清らかで清楚なイメージから「君子」の他に、
厳寒をめげず花を咲かせる性質から「節操」「清友」「厳寒の盟」、
総ての花に先駆けて咲くところ「花の魁」「東風第一及」などと呼び、人々に讃えられた。
「万葉集」には萩137首についで梅119首と、桜の40余首に比べて花の中で圧倒的に多い。
当時「梅」といえば雪まがう「白梅」が主で、「紅梅」及び「その香り」が主役になるのは
平安時代になってからである。